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小笠原鳥類 評論集 『現代詩が好きだ』

3,850円

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現代詩手帖歴程新人賞を受賞し、2022〜2023年に現代詩手帖誌上で読者投稿欄の選者を務めた小笠原鳥類による詩評集第二弾! 氏が1999年から2024年にかけて雑誌やインターネット上で発表した詩・俳句・短歌等に関する文章およそ60篇を集めた珠玉の評論集。多筆の著者の代表的な軌跡を集約した本が、クラウドファンディングによって大勢の方のご声援を受けて完成しました! 北村太郎、入沢康夫、野村喜和夫、広瀬大志、吉岡実、草野心平、そして同時代の詩人たちや鳥類氏が見出だした若い詩人たち。現代詩への深い愛情と洞察、いくつかの別離、そして現代詩の未来への希望を、詩と評論の垣根を超えて展開する一大プロジェクトである本書。もしかしたらこれは452ページにわたる氏の長編新作抒情詩なのかも知れません。 この一冊で、「詩をどのように読むか」「鳥類氏の文章はどのような変遷を経てきたか」「面白い詩はどこにあるのか」そして、「現代詩とはなになのか」に迫ることができます。 詩と言葉を愛するすべての人へ、それから、まだ詩の愛し方が分からないすべての人へ贈る、たのしくて、せつなくて、でもにぎやかな評論集です。 A5版 本文 452ページ 帯文 野村喜和夫 広瀬大志 ソフトカバー 【著者コメント 】 現代詩の小笠原鳥類です。私は1990年代から現在(2024年)まで、雑誌「現代詩手帖」「ユリイカ」などに詩と、詩についての文章を書いてきました。詩集『素晴らしい海岸生物の観察』『テレビ』『現代詩文庫 小笠原鳥類詩集』『鳥類学フィールド・ノート』、詩論集『吉岡実を読め!』などがあります。 現代詩は、冷遇されています。いい詩が、たくさん書かれているのに、「現代詩はダメだ」「終わった」のようなことが言われてしまいます。そのように言う人が悪いのではなくて、いい詩が、どのように、いいものなのか、言うことができなかった詩人たち、詩論を書く人たちが、よくなかったと思っています。 現代詩とは何か。たくさんある、まっとうな説明の文章では、書くことができないことがあります。壊れているような、変であるような、ふしぎな言葉で、書くことができることがあります(でも、雑な破壊でもなくて、しっかり書かれているのが、よい詩だと思います)。そのような〈別の言葉〉は、「難しい」と言われることもあります。でも、書かなければならないときもある。それは、知である、とも言えますけれども、好きなことがあって、好きだー!という叫びが、どうしても、そのようになってしまう。 好きだ、たのしい、おもしろい、この言葉があって生きられる、という言葉が、現代詩です(現代詩についての、ありがちな、つまらない定義が、愛を失っているときがあります。それがよくない)。「読者が少ないからダメだ」という、愛がない、かなしいことを言わないでください。「難解だ」と思われるとしたら、愛の種類が違っているので、違いに困惑されているのです。 いろいろな愛情のありかたがあります。多くの人は、現代詩を好まないかもしれない。どうしても好きになれない人がいても、別の何かが好きであるなら、それでいい。でも、現代詩が好きである人が、多くないとしても(これから多くなるかもしれないですが)いるのであって、私も、そうです。 好きなものが好きで書いているのですが、でも、「現代詩はダメだ」と、いろいろなところで言われて、私は、苦しいと思うことがあります。現代詩を批判してはいけない、とも言えないです。やっぱり、ふしぎな言葉は、あやしいものであり、おもしろいですが、怖いものでもあります。 怖いな、いやだな、と思われるとしたら、それは間違っていないかもしれない。人を傷つける愛もありえて、それは批判されるべき。そうであるからこそ、正確に現代詩を読んで語らなければならない。(完全に、ではなくても)否定されるのであったとしても、正体がはっきりしているものを否定するべきで、なんだかわからなくて不安だから否定だ、は、よくないです。現代詩を肯定するためにも、もしくは否定するためにも、正確に読まなければならない。いいかげんなことが多く言われるのはよくない。 そこで私は『吉岡実を読め!』(ライトバース出版、2024)を書きました。『吉岡実全詩集』(筑摩書房、1996)の詩を、ぜんぶ読んで、1つ1つの詩について、ここは、いい、ここは、どうだろう、ということを書いていきました。458ページの無謀な出版でしたし、1冊も売れないことも予想しましたけれども、予想よりは売れました(重版しました)。ありがとうございました。 『現代詩が好きだ』で、1999年から2024年までの、私がいろいろな雑誌や本に書いてきた、現代詩についての文章(詩であるものも、あるかもしれません)をまとめて、現在の現代詩を一望できるようにしたいと思っています。いい詩がたくさんあるので、ページの数が多くなっています。 内容を少し紹介すると、吉岡実、北村太郎、犬塚堯、岡井隆、入沢康夫、谷川俊太郎、嶋岡晨、支倉隆子、野村喜和夫、広瀬大志、佐藤勇介、鳥居万由実、榎本櫻湖、芦川和樹…詩人たちの詩だけではなくて、それから、短歌や俳句や小説などについても、幅広く書いています。現代詩は、他のものから孤立しているのでもないです。あるいは、現代詩は、予想よりも、もっと、いろいろなものであるようです。 現代詩を、しっかり読んで書いている本が、これまで、なかったのでもないのですが、しかし、ややもすれば「現代詩はダメだ」の大きな声(決して、悪い人たちではないのです。むしろ、まっとうに幸せに生きることができている人たちであるかもしれない)に、押しつぶされそうです。もっと、現代詩はいいぞ、現代詩が好きなんだ、と言わなければならない。そうしないと、多くない人の愛情のありようは否定されて、この国、この世界が、もっと生きることが困難になってしまいます。 たくさんの人に読まれていない現代詩の言葉が、しかし、これまで言われていなかった、発見のあることを言う言葉であるので、人間の生存を可能にしていくことも、あると思っています。生きていて、つらくなってきたら、別の言葉が必要になるかもしれない。そうでもないかもしれませんが、それでも、必要ではない言葉の、たのしさ、おもしろさもありえます。まず、好きなものについて正確に語って、この愛でいいのか、よくないところもあるとしても、でも、いいところがあるのだ、と確認したい。 このように生きている、このようにしか生きられないかもしれない、私だけではない人間たちの記録の本にしたいのです。」 (クラウドファンディングページの文章より、著者の承諾を得て抜粋しております)

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